タマネギ在来種種子確保へ採種作業

 東海市、知多市のタマネギ農家の有志でつくる「玉葱原種保存部会」は7月24日、知多営農センターで愛知の在来種「養父(やぶ)早生」タマネギの採種作業を行いました。採取した種は種苗会社に送り製缶し、JAに出荷を予定する両市内のたまねぎ部会員へ販売します。
 「養父早生」タマネギは1月から収穫できる極早生タマネギの品種のひとつ。愛知県の東海市や知多市で昭和20年ごろから栽培され、現在愛知の伝統野菜に登録されています。黄タマネギに分類され、辛みが少なく甘みが強いのが特徴で形は扁平。
 「養父早生」は他の品種に比べてネギ坊主が小さいうえ、実に種子ができる割合も低いことから採種が難しいと言われています。04年にJAあいち知多が早出しの極早生タマネギを「たま坊」としてブランド化を進め作付けを増やしていく中で、種子の確保が問題となりました。
 採種の難しさとコストの面から種苗会社では扱ってもらえないため、「玉葱原種保存部会」がJAあいち経済連とJAあいち知多で組織する「玉葱採種委員会」の委託を受けて、栽培・採種を行います。部会の活動費は採種委託費と行政からの助成金で賄います。種子を栽培するための母球は採種委託費で部会員から母球を買い取り、市内にある採種畑に植えて栽培し、部会員が管理します。
 この日は保存部会員、JA、行政の関係者ら18人が集まり、6月末に刈り取り、同営農センターの集荷場で乾燥させたネギ坊主を部会員らが手でほぐし、むしろに広げて天日干ししながら、わらじやゴムぞうりでしごいて種を取り出した後、昔ながらの唐箕(とうみ)を使って選別しました。
 保存部会では、「採種できる種子が少ない年もあるため、毎年続けていくことが大切。若い世代にも加わってもらい、採種の技術をつないでいってほしい」と考えています。



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