露地イチジク高温対策に新技術導入/萎び果対策でタイベック傘を活用

 JAあいち知多いちじく部会は、夏場の猛暑の影響によるイチジクの萎び果などの高温障害対策として、遮熱性、通気性のあるタイベック製ブドウ傘を掛けることによる萎び果の発生軽減効果について検証を始めました。
 愛知県はイチジク生産量全国一を誇り、知多半島は県下2位の産地。同部会では、62戸の農家が約20ヘクタールでイチジクを栽培。品種は「サマーレッド」が8割で、「桝井ドーフィン」が2割。市場へ65万3千パック(1パック350グラム)を出荷します。果実に雨が当たらないようにする傘かけ栽培の導入率が高く、高品質で市場の評価は高いです。
 部会では近年、夏場の猛暑の影響により萎び果などの高温障害が多発し、それによる出荷量の減少が問題となっていました。これまで接ぎ木技術や早期摘心、かん水などによる対策を行ってきましたが、高温障害の発生をなくすことができず、生産量減少の大きな要因となっていました。
 萎び果は、主に果径が20~30ミリ程度の幼果時に、猛暑(38℃前後)と強い日射を受けると発生しやすいと想定されます。そこで主にブドウの日焼け対策として使用されているタイベック製の傘を掛ける試験を実施し、萎び果の発生数と着色状況について調査。同様の効果が見込まれるとされる遮熱シートについても併せて導入試験を実施しています。
 試験栽培にかかるタイベック製傘代や遮熱シートなどの費用は自己改革の一環として取り組むJAあいち知多農業チャレンジサポート事業を活用。新技術の実証、販路拡大等で、新たな取り組みへの実践を支援する「地域営農振興支援」を適用しました。
 試験栽培に取り組む生産者の奥川加代子さんは「タイベック製の傘かけや遮熱シートの導入により今のところ高温障害は出ていない。今後の生育具合や収量など導入による効果を比較して来年以降の栽培管理につなげたい」と話します。
 部会では、新技術導入による萎び果の発生軽減効果が実証されれば、栽培講習会等で導入推進を行い、露地イチジクの生産量拡大と農家の所得向上を目指します。



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