協同の力で原種守れ
協同の力で原種守れ ブランドタマネギの種子採取
唐箕を使って種を選別する部会員
東海市、知多市のタマネギ農家の有志でつくる「玉葱原種保存部会」は７月２０日、知多市のＪＡあいち知多知多営農センターで愛知の在来種「養父（やぶ）早生」タマネギの採種作業を行った。採取した種は種苗会社に送り製缶し、ＪＡに出荷を予定する両市内のたまねぎ部会員へ販売する。
「養父早生」タマネギは1月から収穫できる極早生タマネギの品種のひとつ。愛知県の東海市や知多市で昭和２０年ごろから栽培され、現在愛知の伝統野菜に登録されている。黄タマネギに分類され、辛みが少なく甘みが強いのが特徴で形は扁平。
「養父早生」は他の品種に比べてネギ坊主が小さいうえ、実に種子ができる割合も低いことから採種が難しいと言われている。０４年にＪＡあいち知多が早出しの極早生タマネギを「たま坊」としてブランド化を進め作付けを増やしていく中で、種子の確保が問題となった。
採種の難しさとコストの面から種苗会社では扱ってもらえないため、「玉葱原種保存部会」がＪＡあいち経済連とＪＡあいち知多で組織する「玉葱採種員会」の委託を受けて、栽培・採種を行う。部会の活動費は採種委託費と行政からの助成金で賄う。種子を栽培するための母球は採種委託費で部会員から母球を買い取り、市内にある約５アールの採種畑に植えて栽培し、部会員が管理する。
この日は保存部会員、ＪＡ、行政の関係者ら１９人が集まり、６月末に刈り取り同営農センターの集荷場で乾燥させたネギ坊主を部会員らが手でほぐし、更にむしろに広げて天日干ししながら、わらじやゴムぞうりでしごいて種を取り出した後、昔ながらの唐箕（とうみ）を使って選別した。今年は１９リットルを採種した。
保存部会の今津晃さんは「採種できる種子が少ない年もあるため、毎年続けていくことが大切。部会員に十分供給できるように少しでも多く採種していきたい」と話す。また「生産者の有志が管理や作業を行っているが、より多くの生産者に参加してもらいたい。若い世代にも加わってもらい、採種の技術をつないでいってほしい」と語った。
ネギ坊主をほぐす部会員
